群馬県前橋市、利根川の畔に、ピッツァ窯を始め、パン窯、かまど、薪グリル、トスカーナ暖炉等、様々な調理窯煉化石窯を設計・製造している会社がある。1917年創業の増田煉瓦だ。社名の通り、煉瓦製造から出発した会社である。
5代目となる増田晋一社長は、大学卒業後、東京三洋電機(現パナソニック)に就職し、エアコンや冷蔵庫のコンプレッサーの設計を行った、生粋の技術屋。34歳で家業を継いだが、その時煉瓦製造は過渡期を迎えていた。
技術屋の若き社長は、持ち前の探究心と実行力で、付加価値の高い商品を次々に開発していく。日本のレギュレーションや思慮深さに応えたピッツァ窯は、本場イタリアでも高い評価を受けている。国内外で製造した窯は1800基以上にものぼる。
そんな増田社長が昨今熱心に開発を進めている商品が汎用薪窯。薪を使った窯は、安全性の確保に細心の注意を払うとともに、都市部などでは排気排煙など、完成まで約2ヶ月を要す、依頼側にも製造側にも手間暇とコストのかかる一大設備だった。
自然との関係性が全ての営みにおいて必要不可欠なものとなった現代、地域の森林資源をエネルギーとして活用する動きが再熱し始めている。人間が古来より貴重な熱源としてきた、循環型のエネルギーとしての薪は、調理分野においても注目を集め、火入れの緻密さによる素材本来の美味しさを引き出すと注目を高めるほか、限界集落の新たな産業創出のきっかけとしても大きな期待を持たれている。
これを好機と捉え、より多くの方々に薪窯の良さを知ってもらうため、工期が短く、さらにリーズナブル、そして安全な厨房設備としてパッケージ商品化しリリースする。
同時に、薪火を正しく使える調理人育成の重要性を強く感じ、日本各地の循環型畜産や地域活性化に関わる薪火調理人渡邊雅之氏とともに、薪火・熾火を使った調理の継承に着手した。