くらぶちのトキを刻む

「ひとときをつなぎ かけがえのない ひとときを つみかさねる 家づくり」

ヒトトキを標榜し、こだわりの家づくりを行う中澤建設さんを訪ね、中澤社長、おかみさん、創業者である先代、ずっと一緒に家造りに携わる原田さん、そして住み込みで研修中の松島さんにお話をうかがいました。

かつては江戸城再建のための木材も切り出された倉渕で長年建設業を営む中澤建設さん、自分が勝手にもった印象は”木や自然素材へのこだわり”。

しかし中澤社長や創業者であるお父さんのお話しをうかがうにつれ、その先入観の誤りに気付かされました。

お話しの節々に、「ヒトが末永く暮らす家をつくり、トキの積み重ねに関わっていくんだ」という、家づくりへの想いの芯がはっきりと伝わってきました。

中澤さんとの家づくりは、高性能な家づくりの技術的な裏付けはもちろんですが、長い目で見た建物への価値観と、住まうご家族とその暮らしへの愛情があるからこそ、本当に良い家づくりが出来るのだろうな、と感じます。

また地域との関わりの深い中澤社長は、「女性の活躍できる場所をこの倉渕にもっとつくりたい」と、この冬、家具・建具事業をスタートしました。地域社会での自分たちの役割を明確にしているからこそできる決断であり、必ず成功して欲しいと願います。

地域を想い、地域での役割を見出し、地域での暮らしを本気になって楽しむ大人たちによって、くらぶちのトキがまたひとつ積み重なっていくんだなぁ…と実感しました。

かっこいい大人たちに出会えお話しをうかがえることに、心より感謝いたします。

ヒトトキ|中澤建設株式会社
https://hitoto-ki.com/

野菜で生き方を見つめ直すきっかけを

森農園の森さんご夫妻は、お二人共県外出身でありながら、農業を志し、ここ倉渕に移住。

自分たちらしい野菜づくりを追求するなか、食べること、生きることをも見つめ直す、充実の日々を過ごしていらっしゃいます。

高崎市倉渕には、古くから「草の会」という、安心安全な野菜づくりを行う組織があり、新規就農者を歓迎する仕組みが整い、風土が醸成されており、ゼロから農業を始めるご夫妻の、先輩たちもたくさん存在していました。

森農園
https://www.instagram.com/morinouen/

くらぶち草の会
https://kusanokai.main.jp/

革新で伝統を繋ぐ

創業元禄三年、群馬県最古の酒蔵、牧野酒造株式会社。

三百三十三年、ずっと途切れることなく、酒造りが続く。

「保守は改革」と十七代目は語る。
日本酒業界が厳しい局面を迎えた時代に蔵に入り、地酒蔵をどうつなげていくかを考え、チャレンジをし続けた経験を表す言葉だ。
お国の指導にただ従うのではなく、酒造りの本質で勝負をし、新聞社を巻き込みニュースをつくった。
大手には真似できない、本当の生酒の流通を酒販店とともに構築させた。

四年ほど前、酒造りが十八代目に引き継がれた。
研究熱心な十八代目の酒造りはすぐに大きな結果として現れ、令和2年3年と関東信越国税局酒類鑑評会・純米酒の部において連覇する快挙を達成。
しかし大きな評価を得ても特に気にせず、酒づくりの可能性を追求し続けるのが18代目。
旧来の酒蔵の働き方(季節雇用)ではなく、通年雇用の社員だけで酒造りを行う勤務体制へ働き方改革を行った。
高崎市唯一の酒蔵として、パスタに合う日本酒を作った。
大吟醸=良い酒…の様な、日本酒業界にも市場にも染み付いてしまった既成概念を打ち壊すべく、2018年低精白米酒MACHOをいち早く商品化し、原材料を過度に磨かなくとも旨い酒が出来ることを広く周知させた。

高みを目指すだけでなく、如何に日本酒の多様性、日本酒の楽しみ方の多様性に気づいてもらえるか、そういう広がりを生む酒が出来たとき、いい仕事をしたと実感すると、十八代目は言う。

“本質は変えない。しかし常に一歩先を見据え、革新を続けることで伝統を繋ぐ” 牧野酒造のDNAには、そんな思いが込められている。

牧野酒造株式会社

高崎市倉渕町への移住促進 倉渕ライフ(高崎市倉渕商工会)

みんなの居場所

取材後記

2023年3月4日にオープンしたばかりの新しい飲食店さんを応援するための動画を…というご依頼を商工会さんから頂いたのが5月ごろ。

商工会の経営指導員さんと下見がてら食事に伺うと、なんとも居心地の良い空間と温かい雰囲気で、店内のどこを見てもエモさ満載。オーナーさんが作るスパイスカレーと、店長が地元食材を使ってつくるジェラートをいただきながら少しだけお話を伺うと、古い民家を1年半掛けて総勢50名以上の老若男女でDIYして出来上がったお店だそう。建具もテーブルも椅子も、床や壁のアートもみんなで仕上げた一つ一つが想いのこもった手づくり作品。店内に愛が溢れている、そんな印象でした。

後日オーナーさんのこだわりのスパイスカレーの仕込みを撮らせていただけるとのことで伺い、一段落ついたときにインタビューさせていただくと、下仁田町を知ってもらえたらと、野外音楽イベントを10年にわたり開催してきたオーナーご夫妻と仲間たちが、いつでも下仁田に訪れていただけるような場所がつくりたいという想いで作り上げたお店だったと聞き、事前取材の至らなさに反省するとともに、お二人と仲間たちの想いの延長線上でこの映像もつくらねば…と決意。

店長からぜひ撮って欲しいものが2つあるというリクエストがあり、一つ目はウクレレのユニットを組んだ人たちが夕方から毎週木曜日に飲みながら練習してるとのことで、追加取材に訪れたのが18時過ぎ、最初はカメラを回していたものの、結局自分もアコギを手にし翌1時まで盛り上がってしまうという有り様。

もう一つはマンスリーライブ。今回の出演は出たがりのガールズトリオだよ、ということでうかがってみると老若男女が大盛り上がり。演者もお客もスタッフも一体となり、音楽と笑い声、楽しい会話が溢れ出す、みんながつくりたかった場所そのものを感じ撮るのは容易でした。

スパイスカレーとジェラートのお店という以前に、この町にはどんな場所が必要で、何を実現したかったのか。映像の中から感じ取っていただければ幸いです。

思いがけず「1日1日を生ききる大人の生き様」を感じる取材となりました。本業の夜勤明けにスパイスカレーをつくり、子どもたちがギターを弾く傍らで眠りに落ちるオーナーの姿は、これからの自分にとっても糧となる忘れられないシーンです。

樂 大前木材

樂 – ROKU –

林業を営む夫婦がつくる、天然木と天然石をつかった素朴なアクセサリー「樂 – ROKU -」。

樂の工房は、森深い場所にありました。その母体は自ら木を切り製材販売する大前木材。

林業、製材、建築と、木と住まいに関する事業を展開していった先代は、伐倒した枯木も価値ある資源と考え、大切に保管してきたそうです。

現代表の浅香ご夫妻が、地元甘楽町秋畑の山林に再び注目してもらおうと、この材を用いて木工品づくりを始めたのが「樂」の起源。ヤマザクラを使った楊枝入れに始まり、様々な生活小物、そしてアクセサリーなどに展開することで、より多くの人々と出会い、語る機会を得ました。今後は書棚やテーブルなどの大物、そしてDIY用の杉・ヒノキの販売も行い、地域の森林の循環に貢献していきたいとのことです。

太陽と月をモチーフにした、喜虹(きこ)と名付けたアクセサリーシリーズは、イベントやデパート催事などでの販売を通じ、自然愛好家や、文化志向の高いミドル女性を中心に人気を獲得。 「エシカル消費」という言葉が少しずつ浸透し始めた今、性別問わず若い世代にも受け入れられ、その素朴で愛らしいデザインと、製作の背景にある想いが共感をよんでいます。

森林面積が国土の7割も締めている日本。しかしこの日本で使われる木材の約7割が外国産材という木材自給率の低さにより、国産木材の価格も下落してしまい、森林整備もままならず、様々な問題を生じさせるという負のスパイラルに陥っていました。地元の木を使うことは地域経済や森林の循環に必要不可欠なのにも関わらず、多くの方が低コストに傾倒してしまっているのです。しかし地球温暖化や循環型社会の実現への流れ、そして近年のウッドショックや円安の影響もあり、木材の地産地消の流れも大きなものとなってきています。

日本国内における森林の循環は大丈夫だろうと、浅香氏は言います。 世界に目を向けると、生活困窮者による絶滅危惧種の違法伐採など、悲しい現実にも直面します。現地の人たちの身になれば、それを生活の糧とせざるを得ないのは当然のこと。しかし植林できないままでは、彼らも生きていけないこととなってしまう。

「樂」というブランドは、そうした違法伐採された絶滅危惧種を用いたアクセサリーをつくり、多くの方々に身に付けていただくことで、その危機的状況を多くの方々に伝えたいという想いがベースにあります。そして浅香夫妻は、少しずつでもみんなでこの問題解決に向かっていけるよう、天然木と天然石のアクセサリーづくりを続けています。

世界で植樹する事が夢だ、と浅香氏は語ります。 地元の資源を大切に使い生活の糧としていくことは、自然や山とともに暮らしてきた人類にとって不変のもの。忘れてはならないその事実を私も身につけて生きていこう、そう決意しました。

今回、長期間撮影にご協力頂いた浅香ご夫妻を始め、稲含神社神楽関係者の皆さま、飯塚のおいさん、出演ご協力ありがとうございました。

個人的には伐倒作業の休憩時間にお話しいただいた内容が心に滲みてしまいまして、納品用の動画ではないDirector’s cutバージョンをここに掲載させていただきます。

 

愛玩動物飼養管理士になるということ

愛玩動物看護師になるということ

日本で唯一本物の夜間救急動物病院で実際に動物病院で使われる機器を使い、また同グループのわんちゃんテーマパークのキャスト犬たちの健康管理を伴う実習授業を行う動物専門学校、群馬動物専門学校様の愛玩動物看護師コースの説明動画を作成させていただきました。

令和4年に愛玩動物看護師法が施行され、新たな国家資格として注目を集める「愛玩動物看護師」の養成を行う3年生のカリキュラム変更とタイミングを合わせたリクルーティング目的の動画ですが、この国家資格取得を目指す方へ、愛玩動物看護師になるということはどういうことか、校長先生のインタビューに加え、実際に病院現場に就職された卒業生や動物看護師の先輩方、また講師として、あるいは実習先としてご協力いただいている動物病院の先生方へもインタビューを行いました。

これからとても期待され求められる職種、目指すに値する働き方、社会との関わり方であることを、職業について考え始める中学生や高校生にも深く伝えられるよう意識し制作させていただきました。